なぜなる四十肩・五十肩

『肩に痛みがあったので、動かせば治るんじゃないかと思い、無理に動かしていると段々と上がらなくなってきました。』

『肩の痛みを我慢して生活をしていると、夜が寝れないぐらいズキズキと痛むようになりました。』

『痛み止めとシップで様子を見ていましたが、なかなか良くなりません。。。』

と、問診でよく耳にします。

肩の問題は放っておくと改善されにくく、治りにくい五十肩に移行してしまいます。

【肩が上がりやすい背骨と骨盤】の状態を作って、早期に改善させましょう。

五十肩とは


整形外科的に五十肩(四十肩)は
肩の周囲の
・筋肉

・滑液包(衝撃吸収するクッション)

・関節包(関節を覆っている袋)

・靭帯

 

  

などに炎症が強く起こり、拘縮(固まった状態)になってしまったものをいいます。

英語圏ではフローズンショルダーともいい、凍結肩と呼ばれることもあります。

五十肩の段階分け


大きく3段階に分けられます。

五十肩かもしれないと肩の痛みを感じ受診された人の中で、上記のレベル1の段階の方は、動き難くしている原因となる部位を適切に治療できれば早期に改善する人が多いです。

中には一回や二回の治療で大幅に改善される方もいます。

肩の痛みで生活に支障をきたさないために、このレベル1の段階で治療をしておくと長く痛みで悩むことはありません。

『早期治療が何より大切』

ただしレベル2とレベル3に移行してしまっている五十肩では、改善までに少し期間を要します。

レベル2・3の五十肩は放置して改善することはほとんどなく
・炎症を抑える
・動きの制限を引き起こしている問題部位を改善する
この二つが必要になってきます。

肩の状態が長く悪化させてしまわないよう、肩の痛みを感じたら無理をせずに早期に治療することをお勧めいたします。

【多くの人がやってしまう大きなミス】


日常生活やスポーツ中にどこかが痛くなる。
その時、「そのうち治るかな~」と様子を見てしまう方が 結構います。

もちろん様子見で痛みが消えていくモノもあるため、その場合は問題ないことなのですが、一つ覚えておいて欲しいことがあります。

それは徐々に痛くなってくるものに対しては、様子をみたところで改善していくことはほとんどないということです。

逆に急に痛みが出たもの、
例えば 捻挫やぎっくり腰などは安静にしてると症状は落ち着いて患部の問題は治ってきます。

五十肩の場合は急に痛みが出ることはほとんどなく、

 “最近肩回りがちょっと痛いな” 

    “肩をあげた時ピリッとするな” 

“筋肉痛と思ってた痛みがとれないな” 

などといった前駆症状が必ず存在します。

その段階を放置しても治ることはありません。

そのため少しの痛みで生活に支障のない段階、上記のレベル1の段階で治療をしておく必要があるのです。

五十肩になる人、ならない人


『五十肩は動かしたら治る』
『いつのまにか治った』と友人から聞いていたので、そのままにしていました。

という患者さんからの声を非常によく聞きます。

五十肩は動かしているうちに治る。
果たしてこれは本当なのでしょうか?

実は、大きく分けると
「動かして治る五十肩」と「そうでない五十肩」の2つがあり、この二つには決定的な大きな違いがあります。

それは【肩が上がりやすい背骨と骨盤】を持っているかどうか この点です。

ここで一度体験してみてほしいのですが、

①下の写真のように、背中を丸めた状態で腕を上げてみてください 。

②次に、背中をすっと伸ばした状態で腕を上げてみます。

  

②の方が上がりやすかったのではないでしょうか。

普段から背中と骨盤が丸い形で関節が癒着し固まってしまっている人は、体験して頂いたような肩が上がりづらい状態で日常生活の全ての動作を行ってます。

その上がりづらい中で肩に無理をさせてしまった結果が五十肩に繋がっていきます。

そのため五十肩の根本的な解決には肩だけでなく肩甲骨、背骨、骨盤までの動きを改善していく必要があるのです。

→癒着にについて詳しくはこちら

Q&A


Q.痛みがあるときは温めるの?冷やすの?
 
A.冷やします(アイシング)。
特にアイシングが有効なのは、先述の五十肩のレベル2に進行したものです。
この段階の五十肩では炎症が著明に起こっている状態の為、夜眠れない程痛む【夜間痛】が強くみられます。
この時、温めてしまうと炎症がより強くなり、余計に痛みを強くしてしまいます。
痛みが強く出ている時の温めるという選択にはご注意下さい。
 
 
Q.どんな治療をするの?
 
A.重症化した五十肩では肩関節周囲に多くの『癒着』を作ってしまいます。

一度生じた癒着は放っておいて改善することはありません。
そのため治療の根幹はこの癒着を取ることです。
患者さん自身が肩を動かしていくなかでも癒着はとれますが、
『痛みを伴う動き』を行ってしまうと再び炎症が強く出てしまい、改善までの期間が一段と長くなってしまいます。
そうならないために【痛みを出さない形での運動】、【癒着を取っていく治療】が必要なのです。

また、炎症が強く出ている患者さんは痛みをなるべく出さないよう、身体を固めて日常生活動作を行うことが染み付いてしまっています。
そのため背骨や鎖骨、肩甲骨といった肩以外の動きにくくなっている箇所も改善する必要があります。